融資審査 ② 審査の手順 創業編
財務コンサルタントの城戸です。 今回は審査の手順 創業編です。 創業の際は、日本政策金融公庫または、 信金・信組が良い、 メガバンク、大手の地方銀行は決算書が無いと(=創業後1年以上経過していないと)…
財務コンサルタントの城戸です。
御社の強みを一言で言ってみてください。
この質問に、ズバリ答えられますか?
「営業力です」「技術力です」では抽象的過ぎて、
銀行の担当者にはイメージができません。
これは審査の入り口でもあります。
今回から既に事業を開始している企業への融資審査について
書いていきたいと思います。
融資審査には
① 定性分析・・・企業のビジネスモデル(強み)や経営者の人となり、関係者に反社会的勢力と繋がる存在の有無を確認するスクリーニング
② 定量分析・・・決算書の分析(=財務分析)、資金の使い道(=資金使途)の妥当性、資金繰り分析
③ 融資条件・・・企業の財務体質、資金使途、銀行の儲けや他の銀行攻勢等により、融資期間、金利手数料を決める
のステップがあります。
まずは、定性分析です。数字以外の面で分析を行います。
銀行員が新規取引先を訪問する際にまず、
「この会社はどうやって儲けているのだろう?」
「同じ業界でも他社との違いはなんだろう?」と考えます。
所謂「ビジネスモデル」です。
融資審査で一番大切なことは、
融資したお金が安全確実に返済されるか? です。
融資先企業に強みがなければいずれ淘汰され、
融資金の返済が止まってしまう恐れがあります。
ですから他社より秀でた強い会社に融資をしたいと銀行員は考えます。
因みに、「銀行には困った企業を助ける社会的使命があるはずだ!」とお考えの経営者様は、
お考えを修正された方がよろしいかと思います。
その使命は、商工中金や日本政策金融公庫または、
国が制度を創ってカバーします。
預金者から集めた大切なお金ですから、
その使命通りばかりだと銀行は立ち行かなくなるのです。
兎にも角にも融資されたお金が安全に返済されるか
「安全性の原則」が最優先されます。
さて、自社の「強み」を明確にするために
SWOT(スウォット)分析を行うと便利です。
自社の置かれている環境(外部分析)のチャンスと脅威、
自社の他社と比較した強み・弱み(内部分析)を
思いつくままに書き連ねていきます。
例)自動車用プラスチック製品(精密ギア)製造業
Strength(自社の強み)〇全世界自動車業界シェア30%〇高品質による高収益体質 | Weakness(自社の弱み)〇国内生産で高人件費(高コスト)〇代替技術が開発途中 |
Opportunity(外部環境のチャンス)〇世界的な自動車の需要は伸びている〇低燃費を目的にした自動車の軽量化の動き | Threat(外部環境の脅威)〇国内の自動車販売状況が伸びない〇人件費の安い国へ生産工場が移転する動き |
上記会社の強みは、
「高付加価値な精密プラスチックギアを生産をする技術をもった世界を市場とする企業」
となります。
この一言で、銀行の担当者が企業を明確にイメージできるのです。
世界を相手にしている企業でなくても、
県下一番とか、この町一番とか、安くて美味いが受け入れられているとか、
企業が存続するには何かしら他社と違った強みを持っているはずです。
御社の強みを具体的な言葉で、一言で表現してみてください。