銀行員さんの転勤でわかること
財務コンサルタントの城戸です。 取引のある銀行員さんが転勤されました。 銀行員の転勤は2年~3年周期。 長くても5年、支店長さんとなると2年。 銀行員さんがどこへ転勤し、 後任の銀行員さんがどこから転…
財務コンサルタントの城戸です。
御社はどんな銀行と取引をされていますか?
私は、企業の現在の規模、将来像、業種、地域等によって
取引する銀行を戦略的に選ぶことをお勧めしています。
銀行取引は洋服選びと少し似ていると思います。
体型にフィットし、TPOに応じておしゃれに着こなすのがベスト。
なかなかそううまくいかず、ブカブカ、ピチピチだったり、
派手過ぎ、地味で暗~くなったり。
おしゃれに着こなせない(=上手に資金調達できない)のは
体型(=御社の業績)だけが理由ではなく、
ピッタリの洋服(=御社に合ったほぼオーダーメードの銀行取引)選びに間違いがあるのかもしれません。
大まかな銀行の種類は、
政府系金融機関 日本政策金融公庫
民間銀行 メガ銀行 地方銀行 信用金庫 信用組合 です。
銀行選びの基準イメージは以下の通りです。
政府系 | 民間系 | ||||
日本政策金融公庫 | メガ銀行 | 地方銀行 | 信用金庫 | 信用組合 | |
創業時 | 〇 | ☓ | ☓ | 〇 | 〇 |
業歴3年未満 | 〇 | ☓ | △ | 〇 | 〇 |
年商10億円未満 | 〇 | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
成長期 | ☓ | 〇 | 〇 | △ | △ |
調達額1億円以上 | ☓ | 〇 | 〇 | △ | △ |
調達額5億円以上 | ☓ | 〇 | 〇 | ☓ | ☓ |
協調融資 | ☓ | 〇 | △ | △ | △ |
ビジネスマッチング力 | ☓ | 〇 | 〇 | △ | △ |
貿易取引 | ☓ | 〇 | △ | ☓ | ☓ |
金利等コストイメージ | 低 | 低 | 中 | 高 | 高 |
〇…取引にむいている
△…ケースバイケースで検討
×…取引にむかない
如何でしょうか?
御社の業歴や事業規模と見合った取引となっていますでしょうか?
上記の表で特に注意が必要なのポイントは
①創業時と②年商10億円未満の場合です。
①創業時の融資は非常にリスクが高いと銀行は考えます。
何の実績もない創業時は審査・判断する材料が何もなく、
海のものとも山のものとも分からない企業に融資するからです。
日本政策金融公庫は国の創業支援という政策にもとづき融資を行います。
また、信用金庫は創業までにコツコツと開業資金を貯金した経営者の頑張りと、
地元支援というミッションから、これまたリスクの高い創業時に融資を行います。
これから創業をお考えの経営者様は
開業資金を何処で貯金するかも考える必要があります。
次に
②年商10億円未満の企業は、メガバンクとの取引よりは、
地方銀行・信用金庫・信用組との取引に重きを置いた方が良いでしょう。
メガバンク内では、年商10億円に取引のラインを設け、
それ以上の企業は通常取引を、
それ未満は、保証協会付融資やスコアリング融資を行う専門の子会社に取引を任せます。
資金は子会社ではなく、本体のメガバンクからの調達ですから
分かりにくいのですが、
定期的な訪問も融資以外の相談も、
いざというときの対応力も全然違うのです。
それならば、地方銀行・信用金庫・信用組合と取引した方が、
親身に色んな相談にのってくれます。
企業の成長と共に
取引銀行も変えていく(変わっていく)必要があると考えます。
「そんな取引銀行をころころ変えられないよ!」
と仰るのはごもっとも。
いつも着慣れた服を手放すのはなかなかできませんよね。
どの銀行と取引をする(=資金調達政策)かは
年数をかけてゆっくりと実行していきます。
因みに、私の洋服のセンスは自慢できるものではありません。けっこうピチピチです。(苦笑)